花が咲くころ

世界にひとつしかない薔薇の花束をあなたに贈ります

書き言葉と話し言葉


NEWS 11th ALBUM『STORY』に『クローバー』という楽曲が収録されている。曲を聴く前に歌詞カードのページを開いた瞬間、思わず笑ってしまった。誰がどこの歌詞を書いたのかすぐにわかってしまったからだ。NEWSの4人が作詞をしたことは小耳に挟んでいたけれど、こんなに個性と特徴が前面に出ているとは。『Strawberry』の歌詞を見たときにも同じようなことを思ったような。


アイドルが自分で書いた言葉がすきだ。


わたしたちが普段触れることが多いのは、テレビやラジオ、コンサートなどで本人が喋ってる言葉や、編集者を通した雑誌のインタビュー記事。

それはもう大前提にすきだけど、日ごろのブログの文章やイベント媒体の「メリークリスマス」や「あけましておめでとう」などの短い直筆メッセージまで、本人たちが書いた言葉がすきだ。たまの、よそ行きの文章を読めた日にはニヤニヤが抑えられなくなる。

書き言葉は、喋ってるときとは違う、あんまり知らないその人"らしさ"が見える気がする。同じフォントで同じ文字の種類を使っているはずなのに、どうしてこんなに違くてこんなに素敵なの。


みんなもすきな子の書いた言葉と喋ってる言葉を思い浮かべてみてほしい。

文章も喋りも他のものづくりも、上手か下手かではなく、一目で誰のものかわかることが大切だよって誰かが言ってた。

 


わたしがいちばん読んでいるアイドルの書き言葉は、加藤シゲアキさんだ。むしろ、シゲが書いているから、人の書く言葉に注目して個性を知って言葉が色づいて見えて、書き言葉がすきになったのかもしれない。


シゲの執筆作品、読みはじめは少し硬い。堅苦しいではない、しっかりとした地面のような硬さがあるなとわたしは思う。やわらかく簡単には包み込んでくれないけど、読み進めるとグッと引き込まれて深く心に刺さって愛しさが生まれる。それで、ぼんやり読んでるとグングン文章のスピードが上がって、いつも最後にびっくりさせられてやられたー!また一本とられたー!という気持ちになる。

あと、読んでいるとふいに、この人はすごくよく"わかる"人なんだなって思う表現が必ずある。曖昧な描写や複雑な心情、誰しもそれぞれに抱える気持ち。そういうのを言葉で伝えるのって結構難しい。シゲは、それをちゃんと言葉で伝えられる人。もうね、それがとてつもなく、すきだなあと思う。


3月6日に発売された『できることならスティードで』。シゲにとって初のエッセイ集。

旅をテーマに約3年半連載されたエッセイたちは、読みながらあのとき、このとき、と懐かしい気持ちになったり、改めて答え合わせをしたりと新しい発見もあった。彼の旅は、読み手にとっても時空を超える旅をしているような気分にさせてくれた。

NEWSが『STORY』をテーマに掲げてアルバム発売やライブツアーを進めるこのタイミングで、彼自身の物語が読めるとはなんて粋なの。贅沢な読書体験だ。


そう、読書体験、といえば。

『NEWS LIVE TOUR 2016 QUARTETTO』で披露したシゲのソロ曲『星の王子さま』が印象深い。

 

"アイドルをやりながら作家だからこそできる演出"

"本を読んでいたらその世界に入っていくような、そういう読書体験を演出でやれたらいいな"

 

ひとつの物語や誰かの言葉を伝える手段は、必ずしも並んだ文字を読んでいくとは限らない…?星の王子さまサン=テグジュペリについてエンターテインメントを通して多くの人々に伝えたシゲには、頭が上がらないどこじゃない。

わたしは、このときを超える「最高の読書体験」を未だしていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

25本目

グランオマージュ

 

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薔薇25本の花言葉は「あなたのしあわせを祈っています」